
鶏肉は普段の私たちの生活に欠かせないものですが、スーパーの店頭に並んでいる鶏肉のほとんどは「ブロイラー」と呼ばれる大量生産用に品種改良された鶏となっています。こちらは不衛生な環境で飼育されるため、味や倫理観について問題されることも少なくありません。 一方、「地鶏」と呼ばれる高級種は、生育方法などがきちんと定められており、味や歯ごたえなどもブロイラーのそれとは異なるものとなります。今回は全国でも代表的な地鶏について解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
1. 地鶏とは
地鶏の定義は、JAS (農林水産製品について、日本全国で統一して定めた規格)で以下のように定められています。
- 在来種の鶏の血液が50%以上であって、出生の証明が可能であること
- 孵化日から75日間以上飼育していること
- 28日齢以降平飼いで飼育している場合
- 28日齢以降1㎡あたり10羽以下で飼育している場合
地鶏は一般的なスーパーで見かけることは少ないでしょうが、日本全国に60種類以上存在しています。しかし、その流通量は全体の1%程度といわれています。飼育に長い時間や広い土地などが必要であるため値段も高くなりますが、その分うま味は段違いとなるでしょう。
エサや飼育方法も各養鶏場で工夫がされており、鶏本来のうま味と歯ごたえのある肉質が特徴です。なお、平飼いとは自由に地面を歩き回れる環境で飼育することを指します。
「在来種の鶏の血液が50%以上」というのが、地鶏の条件の1つです。「在来種」とは、明治時代までに国内に生息していた種であり、現在認められているのは38種のみです。日本で本格的に食肉用の鶏が飼育され始めたのは明治時代で、その時代に存在した鶏の血統を持つものになります。
2. 地鶏以外の鶏
地鶏以外にも「ブロイラー」と「銘柄鳥」という種類があり、こちらが一般的に流通されている鶏肉になります。
2-1. ブロイラー
国内で流通している鶏肉の54%を占めており、戦後アメリカから輸入する形で広まるようになりました。通常の鶏は、成熟するのに4ヶ月から5ヶ月ほどかかりますが、ブロイラーの場合は40日から50日程度で成鶏になります。
若くして出荷されるため、「若鶏」あるいは「レギュラーチキン」という名称でスーパーに並ぶことも多いでしょう。せまい鶏舎の中で飼われるため、運動をあまりしないで成長します。その分肉質はやわらかくなりますが、味わいは地鶏に比べると淡泊なものになります。
2-2. 銘柄鳥
国内で流通している鶏肉の45%を占めます。銘柄鶏は地鶏のように明確な定義がない、「育て方を工夫した鶏」で、銘柄鶏の9割はブロイラーといわれています。一般のブロイラーに比べ、飼育期間を長くしたり、特別な飼料を与えたりするなどの工夫をして育てられたものがほとんどです。
銘柄鶏は「若鶏系」と「赤系」に種別されます。「若鶏系」とはブロイラーのアップグレードバージョンといえるもので、「赤系」は、赤鶏という優良血統種の鶏になります。この「赤系」の銘柄鶏は数が少なく、「若鶏系」の銘柄鶏の4分の1以下の流通量といわれており、こちらを好んで食べる方も少なくありません。
3. 有名な地鶏
地鶏といっても、住んでいる地域によってはあまり馴染みのない方もいらっしゃるでしょう。ここでは「日本三大地鶏」と呼ばれている、有名な地鶏を紹介していきます。
3-1. 比内地鶏
秋田県北部にて古くから飼育されている地鶏です。以前は秋田県北部に「比内郡」(ひないぐん)という地域があったため、この名前になりました。なお、食用ではない比内鶏(ひないどり)は天然記念物に指定されています。
比内地鶏は赤身が多く、適度な歯ごたえがあり、鶏でありながら山鳥のような野性味あふれるコクが特徴です。日本料理だけでなく、イタリアンやフレンチにも合います。
3-2. 名古屋コーチン
愛知県は非常に養鶏の盛んな地域です。江戸時代末期に、名古屋藩士が副業として鶏の飼育をしていました。その後明治になり、「バフコーチン」という中国の鶏と在来種の交配で生まれたのが名古屋コーチンです。
名古屋コーチンは引き締まった肉質で、弾力がありジューシーな味わいです。また、卵肉兼用種であることも特徴で、卵も非常に濃厚なものになります。
しかし一般的な卵用鶏(レイヤー)に比べると産卵数は5~7割程度で、高値になりやすいことが特徴です。名古屋コーチンは飼育期間が非常に長いことでも有名ですが、温厚な性格で飼育しやすいともいわれます。
3-3. 薩摩地鶏
「薩摩鶏」という、闘鶏にも使われる日本固有の鶏を父方に持つ地鶏です。薩摩鶏は天然記念物に指定されている希少な種で、性格が荒く、育てるのが非常に難しいといわれています。飼育期間も、雄が120日、雌が150日となり、比較的長めになります。
しかし育て方が難しい分、その味は格別です。肉に締まりがあり、さらにやわらかさと甘みもあるため、「日本三大地鶏」の1つに数えられています。
4. まとめ

今回は、全国的に知られている地鶏の種類について紹介しました。味や歯ごたえなどさまざまな違いがあり、どれも食欲をそそるものとなっています。お酒にも合いますので、養鶏家の皆様が苦労して育てた地鶏を好みのお酒と一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか 「焼鳥ダイニング彩酉」では、こだわりの地鶏を提供しております。メジャーな部位から希少部位まで、どれもリーズナブルな価格で提供しておりますので、興味をお持ちでしたらぜひ一度お立ち寄りください。